虚血心筋における黒酢の血管新生効果

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  • Effect of Kurozu (Brewed rice vinegar) on Neovascularization in Rat Ischemic Myocardial Tissue

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黒酢は日本の伝統的製法により作られた食酢の一種である。醸造中に黒酢もろみ末と呼ばれる固形成分も生成される。本研究は黒酢と黒酢もろみ末とをラットに与え,虚血心筋における血管新生効果を調べた。ラット18匹に冠動脈を結紮することにより心筋に虚血を作成した。黒酢群,もろみ群,対照群の3群に分け,黒酢群には黒酢(上清)入りの餌,もろみ群には黒酢もろみ末入りの餌,対照群には標準の餌を与えて飼育した。餌は自由摂取とした。14日後に心臓を摘出し,虚血心筋における血管新生を抗CD31抗体を用い免疫組織学的に評価した。顕微鏡1視野当りの虚血部の血管数を定量すると,黒酢群(11.0±3.0本,n=6)およびもろみ群(13.7±2.0本,n=6)の方が対照群(4.0±1.6本,n=6,p<0.05 ANOVA)よりも有意に多かった。黒酢群ともろみ群との間には差を認めなかった。すなわち,黒酢群およびもろみ群において対照群よりも有意に強い血管新生を認め,黒酢と黒酢もろみ末は心筋虚血部における血管新生を促進させることが明らかとなった。以上の結果より,黒酢はその血管新生作用により虚血性心疾患等の虚血病変に対しその改善効果もしくは病状進行の抑止効果が期待できると考えられた。

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