精神科看護師が経験した倫理的悩み : 質問紙調査による日本とイングランドの比較

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  • Comparison of Moral Distress and Burnout Experienced by Mental Health Nurses in Japan and England : A Cross-sectional Questionnaire Survey

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抄録

倫理的悩みは,看護師が倫理的価値や原則に基づいて正しい意思決定をしたが,現実的な制約により実行できなくなったときに生じる。研究目的は,精神科医療において資源の豊富さに差があるイングランド(以下,英)と日本の精神科看護師が経験する倫理的悩みとバーンアウトを比較することである。方法は,倫理的悩みに関する質問,バーンアウト尺度,それに属性に関する項目から成る無記名自記式質問紙を用いた横断的研究である。対象者は便宜的に抽出された看護師・准看護師で,日本では6病院で働く391人,英では3病院の460人であった。日本の289人(回収率73.9%),英の36人(回収率7.8%)から回答があり,両国で共通して強い悩みとなっていたのは,「人員配置の不足」であった。一方でいくつかの相違もあり,長期の社会的入院のように不十分な状況を反映した項目の得点は日本で高かった。また,英の看護師は日本に比べ,倫理的悩みに遭遇する頻度は少ないにも関わらず,より多くの項目で悩みを示していた。属性との関連では,英でのみ,年齢が高くなるほど,すなわちより多くの経験を積んでいるほど,悩みの程度が低くなっていた。バーンアウトについては,両国の看護師は同程度の疲弊感とシニシズムを示していたが,職務効力感は英の看護師のほうがはるかに高かった。倫理的悩みを感じ,バーンアウトすることなく状況を改善する努力をしていくことが重要である。

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