局所麻酔薬アレルギーが疑われたため全身麻酔下に歯科治療を行った転換性障害患者の1例

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  • A Conversion Disorder Case Study of a Patient Who Underwent General Anesthesia for Dental Treatment as It Was Suspected That She Was Allergic to the Drugs Used in Local Anesthesia

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抄録

<p>今回われわれは,転換性障害を有する患者で局所麻酔薬アレルギーが疑われたため2回にわたり全身麻酔下に歯科治療を行った1例を経験したので報告する.症例は19歳,女性.大分大学医学部附属病院(以下,当院)精神科で転換性障害の診断下に入院加療されていた.</p><p>当院整形外科で股関節痛に対する除痛のためリドカイン塩酸塩による硬膜外ブロックを受けた際に,発疹,咽頭閉塞感,血圧低下,四肢振戦などを認め,同薬による薬剤アレルギーが疑われた.また同科などの依頼により,皮膚科で3回にわたり局所麻酔薬,全身麻酔に使用される薬剤などのアレルギーの有無について精査するため皮内テストおよび皮下テストが行われ,各科での治療の参考とされた.</p><p>その後,う蝕治療を希望し,当院歯科口腔外科を受診した.歯冠崩壊歯をはじめ治療が必要な歯を多数認めたため,2回にわたり同科で全身麻酔下に集中歯科治療が施行された.本症例では検査および他科での臨床経過より総合的に判断し,局所麻酔薬を使用せず全身麻酔下に歯科治療を行い,安全に周術期管理しえた.</p><p>薬剤過敏症患者に全身麻酔下で歯科治療を行い,良好な経過を得たとする報告は,これまでにも複数存在する.本症例は薬剤過敏症と鑑別が困難な徴候が出現しやすい転換性障害患者であったという点が,これらの報告とは異なっていた.</p>

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