アメリカにおけるバイオエシックスの変容 : 個人の生命に関する問題からパブリック・ヘルスへ

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タイトル別名
  • Transformation of bioethics in America : From individual issue on life to public health

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抄録

1980年代以降のアメリカにおいては、先端医療技術や生命科学の進展に伴って生じる諸問題-臓器移植、生命維持治療の中止や差控え、生殖技術、出生前診断など-が生じ、バイオエシックスは個人の自律的な選択を支持することでそれらを解決しようとしてきた。一方アメリカでは近年、健康格差が喫緊な社会的問題として関心を集めてきている。例えば無保険者は4700万人にも上り、さらに人種や民族、社会経済的地位によって健康状態に顕著な差があることが明らかになってきた。こうした状況に伴って、バイオエシックスの守備範囲は、個人の生命に関する問題から人々の健康一般を射程に入れたパブリック・ヘルスの問題へと拡大されつつある傾向が見て取れる。本稿ではまず従来のバイオエシックスの流れを概観し、それへの批判的な議論について検討する。そしてこうした批判的議論に基づいたパブリック・ヘルス的なエシックスを構想する動きについて考察する。

収録刊行物

  • 生命倫理

    生命倫理 19 (1), 120-126, 2009

    日本生命倫理学会

参考文献 (26)*注記

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