台湾における終末期医療の議論と「自然死」の法制化 : 終末期退院の慣行から安寧緩和医療法ヘ

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Debates on end-of-life care and the legalization of "natural death" in Taiwan : the practice of terminal discharge and the Hospice and Palliative Care Act

この論文をさがす

説明

本稿は、台湾における「終末期退院」の慣行から「安寧緩和医療法」の制定までの過程を明らかにしたものである。まず第1章において、瀕死状態の患者を本人または家族の代理決定によって退院させ、自宅で死を迎えるという終末期退院の慣行の実態を説明し、延命治療の取りやめと家族の代理決定は実質上容認されていることを確認した。第2章では1995年以降台湾における「自然死」の法制化の動きを注目し、終末期医療に関係する医療従事者が、心肺蘇生法の差し控えを「自然死」として捉え、終末期患者の事前指示または家族の代理決定に関する法制化の動向を整理した。第3章において台湾の「安寧緩和医療法」の成立及び法改正の経緯を調査し、終末期医療における延命治療の差し控えと中止に関して本人の事前指示だけではなく家族の代理決定も法的に承認されるまでの過程を考察した。本稿によって、終末期退院の慣行が法制化の背景にあり、台湾の「安寧緩和医療法」が成立したことを明らかにした。

収録刊行物

  • 生命倫理

    生命倫理 23 (1), 115-124, 2013

    日本生命倫理学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ