リビング・ウイルの合理性と多様性に関する思考 : Luis Kutnerの原義とアメリカにおける変容

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タイトル別名
  • Some thoughts on the rationality and variety of living wills : Original conception by Luis Kutner and transformation in the USA

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説明

リビング・ウイル(LW)を初めて提案したカットナーの原点を再考した。彼は次のように主張した:「判断能力がない時には、治療に同意すると法は推定する。死に至らしめる意図的な不作為は殺人である。医師が患者の苦痛を長引かせないことを意図した不作為による消極的な死は、作為による積極的な死(慈悲殺)とは明らかに異なる。同意に基づく積極的安楽死は犯罪であるが、消極的安楽死は犯罪ではないという根拠はない。治療により生存が延びるとしても、治療を拒否する権利がある。そうすると医師の治療は許されなくなり、不作為による死が許容される。自己決定能力のあるときに、将来意思決定できない時に備えて、同意する治療範囲を指示するLWを提案する。」彼の言う事前の指示は、自己決定権に基づく治療の不開始・中止による意図的な生命短縮を目的とした自発的消極的安楽死、と考えられる。つまり、死の過程を遷延させるに過ぎない延命措置の不開始・中止による自然死(尊厳死)の概念とは異なると考えられた。LWの原義と変容を研究し、LWの合理性と多様性における問題点を検討した。

収録刊行物

  • 生命倫理

    生命倫理 20 (1), 102-110, 2010

    日本生命倫理学会

参考文献 (17)*注記

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