神経性無食欲症の治療困難例について

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  • 和田 良久
    京都府立医科大学大学院医学研究科精神機能病態学

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タイトル別名
  • Patients with anorexia nervosa who are difficult to treat

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抄録

<p>神経性無食欲症患者のなかでは,病識をもち,回復への葛藤をもちながらも自ら治療に取り組むことができる患者もあれば,病識が欠如し,治療に強く抵抗し,行動障害が著しい患者もあり,病態水準の幅は広い。治療困難例として,①治療抵抗が強く治療が進展せず改善が困難な場合,②治療反応性は良いが再発・入院を繰り返す場合,③身体合併症がある場合,④他の精神障害が合併している場合が想定される。治療困難例に対する治療的工夫としては,第1に治療構造の確立である。重症であるほど強固な治療構造が必要となる。第2に患者の治療意欲を向上させることであり,そのためには患者が回復をめぐる葛藤を自覚できるように支援することが重要である。第3に,治療者の機能を維持することが重要である。多職種で協力して治療を進めていき,治療者と患者との閉塞的な関係に陥らない注意,さらに,治療者の燃え尽きの予防と逆転移感情への対処が必要とされる。</p>

収録刊行物

  • 総合病院精神医学

    総合病院精神医学 26 (2), 161-167, 2014

    一般社団法人 日本総合病院精神医学会

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