ネット上討論から見た脳死・臓器移植の価値構造 : 近代化・グローバル化の視点から

書誌事項

タイトル別名
  • Value structure on brain death and organ transplantation from the view point of modernization and globalization

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説明

医療化の進行した先進国としては特異な経過を辿った、我が国の脳死・臓器移植の価値構造を明らかにするために、脳死・臓器移植の是非をめぐるインターネット上討論の内容について、KJ法による質的分析を行った。推進派の中心的な価値は、自律と自己決定に至上価値を置くパーソン論的人間観を基盤として、客観的な観察者の視点で展開されるものであった。対する懐疑派は、二元論的な身体観・人間観をはじめとする科学万能主義を戒め、ドナーや家族などの当事者の視点での論議を展開すると共に、非専門家によるコントロールシステムの必要を主張した。脳死・臓器移植の価値構造は、グローバルな近代化の流れが内包する価値を基軸として、「近代」を精緻化し、深化させる方向で対処しようとするものであった。したがって、我々の葛藤は、「近代」を共有する他の多くの社会に対して、先駆的なメッセージと成り得る。

収録刊行物

  • 生命倫理

    生命倫理 11 (1), 18-25, 2001

    日本生命倫理学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (10)*注記

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