イオントフォレシスを目的とした経皮投与用ナノ粒子の製剤設計

  • 鈴木 健一
    興和株式会社 富士研究所 DDS研究部 DDSグループ

書誌事項

タイトル別名
  • Design of Particulate PLGA Nanoparticles Suitable for Transdermal Absorption with Iontophoresis
  • イオントフォレシス オ モクテキ ト シタ ケイヒ トウヨヨウ ナノ リュウシ ノ セイザイ セッケイ

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抄録

<p>近年,ナノ粒子製剤の経皮投与への応用については,経細胞間隙ルート (50~70 nm) を目指した薬物内包キャリアの小径化技術が報告されており,経皮吸収におけるサイズ効果が示唆されている。本研究では,モデル薬物としてインドメタシン (IM) をポリ乳酸- グリコール酸共重合体 (PLGA) に内包した50~200 nmの薬物内包PLGA-NP (Nanoparticle) を創製し,貧溶媒拡散法と優先溶媒和法を組み合わせた新規粒子設計技術を確立した。新規調製法は,分散安定剤であるポリビニルアルコール (PVA) を使用しないため,PLGA由来の表面電荷を遮蔽せずに,表面負電荷密度の増強が期待できることから,イオントフォレシス (IP) に適した薬物内包キャリアとなり得ることが示唆された。粒子物性評価では,50 nmと100 nmの粒子間に差異は認められず,インドメタシン (IM) の放出挙動も同様であった。ラット摘出皮膚を用いたex vivo経皮透過性評価では,PLGA-NP化により透過促進剤及び溶解補助剤を使用せずに皮膚透過性が向上すること,また,イオントフォレシス適用下での透過試験後の皮内インドメタシン貯留量を評価した結果,50 nm及び100 nm粒子は単純溶液に対して有意な貯留性の増加が認められ,小径化による有用性が示唆された。更に,PLGA粒子 (キャリア) のトレーサーとして添加したクマリン6の皮内分布を評価した結果,小径化により表皮並びに毛胞等の付属器官における浸透性の向上が確認された。これらの研究成果からイオントフォレシスにおける通電条件と粒子設計の最適化は,ナノ粒子の経皮吸収製剤化と薬物の皮内分布の制御において重要な知見をもたらすものと考えられた。</p>

収録刊行物

  • Oleoscience

    Oleoscience 15 (3), 123-129, 2015

    公益社団法人 日本油化学会

参考文献 (9)*注記

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