チンパンジーの泌乳期乳腺の形態学的検討

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  • Morphological Study of the Mammary Gland of Lactation Stage in a Chimpanzee

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抄録

分娩後25か月目の雌チンパンジーにおいて,乳腺を肉眼解剖学的および組織学的に観察した。広がった乳腺組織の面積は左側が181.7 cm^2, 右側が157.2 cm^2であった。光学顕微鏡観察の結果,乳腺組織は腺胞と結合組織よりなっていた。腺胞には,分泌細胞と筋上皮細胞が観察された。分泌細胞には他種の泌乳期に典型的な明るい細胞質は確認されなかったが,分泌管腔には分泌物が充満していた。これらの結果から分娩後25か月目のチンパンジーは泌乳の活発な乳腺組織を備え,泌乳期後半の状態にあると推察された。この結果はヒトを含む類人猿の繁殖・泌乳戦略を議論する上で,今後有効な基礎資料になるものと考えられる。

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