Late-Stage Fluorination

DOI
  • 古谷 建
    サイフロアー ライフサイエンス(有)

書誌事項

タイトル別名
  • 化合物合成終盤におけるフッ素原子の導入

抄録

医薬品化学の分野におけるフッ素原子の重要性は古くから認知されており,1950年代にはステロイドをフッ素化することでその薬効や選択性が向上し得ることや,ピリミジン塩基をフッ素化した5-フルオロウラシルの抗がん作用などが報告されている.近年の米国における売り上げ上位30位の医薬品の3分の1がフッ素原子を含んでいることからも,その重要性を疑う余地はないであろう.<br>また近年「化合物合成終盤におけるフッ素原子導入(late-stage fluorination)」という概念が注目を集めている.フッ素に限らず医薬品化学に汎用される原子や置換基であれば何であれ,化合物合成の終盤に導入することができれば合成経路の一般性と効率が高まるために有利となるのは論を待たない.ではなぜ,例えば塩素やシクロプロピル基のように医薬品化学の分野で頻繁に用いられる他の置換基と異なり,フッ素のみがこのような注目のされ方をしているのだろうか?<br>その理由として,①フッ素化のように本質的に困難な官能基変換を合成の終盤で行うことが近年の化学の進歩によって,ようやく技術的に可能になり始めていること,②フッ素化が医薬品化学の中でも取り分け有用であること,そして③フッ素の放射性同位体(18F)を用いたポジトロン断層法(positron emission tomography:PET)測定の有用性と18Fの半減期による制約,が挙げられる.以下,本稿ではこの3点を解説する.

収録刊行物

  • ファルマシア

    ファルマシア 50 (1), 29-33, 2014

    公益社団法人 日本薬学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282679475286016
  • NII論文ID
    130005122143
  • DOI
    10.14894/faruawpsj.50.1_29
  • ISSN
    21897026
    00148601
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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