老化細胞の除去による健康寿命の延伸

  • 中山 祐二
    鳥取大学生命機能研究支援センター遺伝子探索分野

書誌事項

公開日
2016
DOI
  • 10.14894/faruawpsj.52.11_1076
公開者
公益社団法人 日本薬学会

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説明

高齢化社会が進むに伴い,今後直面していく課題は,加齢関連性疾患や慢性疾患の増加と,それに対する治療法の開発である.これらの症状は「高齢化」そのものがリスクファクターであり,種々の組織に蓄積する老化細胞が何らかの役割を担っていると予想されるが,老化研究において,細胞レベルの老化(senescence)と個体の老化(aging)の機能的な関係性は明確になっていない.Senescenceは,不可逆的な細胞増殖の停止と定義され,抗がん作用を持つ現象として位置づけられている.しかし近年,老化細胞が様々な炎症性サイトカインを分泌するsenescence-associated secretory phenotype(SASP)と呼ばれる現象が見つかり,老化細胞によって局所的に組織構造や機能が破壊され,抗がんとは逆の,がん化亢進の温床が形成されると考えられるようになった.今回Bakerらは,agingにおける組織内のsenescenceの役割を調べるために,老化細胞を選択的に除去する独自の実験系を使い,老化細胞の除去が加齢関連性疾患の軽減,がん発生の遅延をもたらし,健康寿命を延伸すると報告している.<br>なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.<br>1) Pérez-Mancera P. A. et al., Nat. Rev. Cancer, 14, 547-558 (2014).<br>2) Baker D. J. et al., Nature, 530, 184-189 (2016).<br>3) Baker D. J. et al., Nature, 479, 232-236 (2011).<br>4) Childs B. G. et al., Nat. Med., 21, 1424-1435 (2015).

収録刊行物

  • ファルマシア

    ファルマシア 52 (11), 1076-1076, 2016

    公益社団法人 日本薬学会

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