メトフォルミンが脂質合成の抑制を介して糖尿病を改善する

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説明

2型糖尿病の治療には,ビグアナイド系の薬であるメトフォルミンが広く処方されている.メトフォルミンの2型糖尿病に対する作用は,肝臓における糖新生の抑制や骨格筋における糖利用の促進などによる血糖値の低下であることは以前から知られているが,本薬剤の分子生物学的な機序については完全には解明されていない.というのも,当初メトフォルミンによる抗糖尿病効果は,エネルギー代謝に広くかかわるAMP活性化プロテインキナーゼ(5'AMP-activated protein kinase:AMPK)を介した経路に作用する結果と考えられていたが,近年AMPKを欠損させたマウスでも糖新生の抑制効果が報告されており,その作用経路にはAMPKではなくグルカゴン-プロテインキナーゼA(PKA)経路が関与するとされたためである.今回,メトフォルミンの作用は,AMPKを介するものと介さない経路が独立して糖と脂質の代謝を改善するものである可能性が報告されたので紹介する.<br>なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.<br>1) Zhou G. et al., J. Clin. Invest., 108, 1167-1174 (2001).<br>2) Miller R. A. et al., Nature, 494, 256-260 (2013).<br>3) Morgan D. F. et al., Nature Med., 19, 1649-1654 (2013).<br>4) Musi N. et al., Diabetes, 51, 2074-2081 (2002).

収録刊行物

  • ファルマシア

    ファルマシア 50 (7), 695-695, 2014

    公益社団法人 日本薬学会

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