夜盲を引き起こす夜盲症と網膜色素変性症
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- 小池 千恵子
- 立命館大学薬学部
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説明
明るいところから暗いところに移動すると一時的にものが見えにくくなるが,しばらく経つと網膜の感度が暗さに順応し見えるようになる.しかしながら,この順応が上手くいかない状態,すなわち「暗順応障害」を夜盲という.夜盲症患者には,網膜電位図(electroretinogram:ERG)検査において,双極細胞由来のb波が消失しているという特徴がある.<br>夜盲には先天性と後天性のものがある.先天性夜盲はさらに,幼児期より徐々に発症して症状が進行する進行性夜盲と,発症しても生涯進行しない停止性夜盲とに分けられる.先天性停止性夜盲症(congenital stationary night blindness:CSNB)の原因遺伝子として同定されているものは,ON型視覚情報伝達にかかわる遺伝子が多い.一方で進行性先天性夜盲の代表には網膜色素変性症(retinis pigmentosa:RP)が挙げられる.RPは視細胞が変性・減少し,網膜機能低下と網膜萎縮を呈する進行性の遺伝性疾患であり,初期に夜盲を自覚する.後天性夜盲は,全身的にはビタミンA欠乏での突発夜盲が代表的であり,眼疾患で網膜が広範に障害される場合にも認められる.<br>本総説では,特に夜盲と関連のある網膜の構造と機能について説明した上で,先天性夜盲症の原因遺伝子と発症メカニズムについて概説する.
収録刊行物
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- ファルマシア
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ファルマシア 50 (3), 222-226, 2014
公益社団法人 日本薬学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282679475853440
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- NII論文ID
- 130005147094
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- ISSN
- 21897026
- 00148601
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- journal article
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可