「粒子・流体系分離工学の展開」傾斜沈降管による沈殿池の処理効率の増大化

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タイトル別名
  • Enhancement of Settling Tank Capacity with Inclined Tube Settlers
  • 傾斜沈降管による沈殿池の処理効率の増大化
  • ケイシャ チンコウカン ニ ヨル チンデンチ ノ ショリ コウリツ ノ ゾウダイカ

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説明

この論文は横流式沈殿池の処理効率を増大させる手法を検討したもので, 沈殿池内に設置される新しい装置を提示し, その有効性を示したものである.<br>大都市で広く採用されている合流式下水処理方式では, 豪雨時には流入量が急増するため, 流入下水の多くが簡易処理のみで放流されていた. 最近この簡易処理のみで放流される排水による水域汚染が問題となり, 下水処理場の処理能力の増強が求められている. この研究は, この問題に対する一つの解決策として, 沈殿池の水表面積を増やすことなく, その処理能力の増強をはかる手法を開発することを目的としている.<br>まず, 横流式矩形沈殿池の挙動について, コンピュータシミュレーションを行い, 現存の沈殿池の流入負荷増に対する処理能力の限界を示した.<br>新しく開発した手法は, 傾斜板沈殿池の考えを応用したものである. 通常の傾斜板は水平に配置されるが, 本研究ではこれを鉛直に多数並べて設置した. 傾斜板の左右両端を閉じて断面が矩形の傾斜管とし, 個々の沈降管内の上澄水を吸い上げて採取する方法について検討した. この点がこの研究の独創的な点である. 個々の沈降管はそれぞれが小さな沈殿池として機能するため, 処理能力は沈降管の数に比例する. さらにこの方式は傾斜管を鉛直に並べるため, 沈殿池の水表面積の制約を受けることが少ない.<br>室内実験と数値解析によりこの方法の有効性を確かめた. また, この手法を実際の沈殿池に応用するための試算では, 現在の沈殿池の5倍以上の流入量の沈降濃縮処理が可能という結果が得られた.

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