平板上昇に起因する粉体層からの粒子飛散現象の実験的検討

  • 後藤 邦彰
    岡山大学大学院自然科学研究科機能分子化学専攻
  • 松田 智子
    岡山大学大学院自然科学研究科機能分子化学専攻
  • 吉田 幹生
    岡山大学大学院自然科学研究科機能分子化学専攻
  • 押谷 潤
    岡山大学大学院自然科学研究科機能分子化学専攻
  • 小倉 勇
    独立行政法人産業技術総合研究所安全科学研究部門

書誌事項

タイトル別名
  • Experimental Investigation of Particle Resuspension from a Powder Layer Induced by an Ascending Flat Object
  • ヘイバン ジョウショウ ニ キイン スル フンタイソウ カラ ノ リュウシ ヒサン ゲンショウ ノ ジッケンテキ ケントウ

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説明

本研究では,容器開封作業などで見られる粉体層近傍に負圧を生じる操作に着目し,環境中への発塵の防止や発塵性評価のための基礎的検討を目的とした.粉体層近傍に負圧を生じる操作の最もシンプルな系として,粉体層上部に置かれた物体が上昇する場合に着目し,板上昇に起因する粒子飛散現象を実験的に検討した.一次粒子径がナノオーダーからミクロンオーダーまでの5種類のシリカ粒子を用いて実験した結果,いずれの粒子でも,板の上昇により,粉体層からの粉体の飛散とともに,粒子の平板への付着と板中心部を最高点とした同心円状の層隆起が確認された.しかし,板への付着量,粉体層厚さを変えた飛散実験より,板への付着も粉体層の隆起も粒子の飛散量には影響しないことが明らかとなった.このことから,物体上昇による粒子の飛散は,飛散以外に付着や層変形などいくつかの粒子挙動が観察され一見複雑に見えるが,物体上昇に誘起される気流が飛散量を決定する主要因であると考えられる.<br>また,板単位面積あたりの粒子飛散量に対する板直径および上昇速度の影響は,板上昇速度と板面積の積で定義した排除体積流量の違いで説明することができ,排除体積流量の増加に伴い飛散量は増加し,ある流量以上では飛散量はほぼ一定値となることが明らかとなった.この最大飛散量は粉体種により異なるが,本実験で用いた最大粒子である一次粒子径26 μmのシリカを除き,本実験に用いたシリカ粒子では大きな差はなかった.飛散した粒子をサンプリングし電子顕微鏡観察した結果,一次粒子径26 μm 以外のシリカ粒子は,一次粒子径によらずほぼ同じ大きさの凝集体として飛散していることが明らかとなった.このことは,飛散量は一次粒子径よりも層内での凝集状態に依存することを示唆する.

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参考文献 (13)*注記

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