可逆反応と不可逆反応による混合時間の差異

  • 橋本 俊輔
    大阪大学大学院基礎工学研究科物質創成専攻化学工学領域
  • 西村 亮俊
    大阪大学大学院基礎工学研究科物質創成専攻化学工学領域
  • 井上 義朗
    大阪大学大学院基礎工学研究科物質創成専攻化学工学領域

書誌事項

タイトル別名
  • Difference Between Mixing Times Measured with Reversible and Irreversible Reactions
  • カギャク ハンノウ ト フカギャク ハンノウ ニ ヨル コンゴウ ジカン ノ サイ

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説明

一般的な流体混合を考える場合,2種以上の流体物質が空間的に均一に混ざり合ったとき,混合が完了したと判断する.実際の撹拌・混合操作における混合完了時間の測定には,ヨウ素の脱色反応などの化学反応による色変化検出法がよく用いられる.この場合,概念的な流体混合の完了時間と実測される色変化終了時間とが一致するとは限らない.本研究では,従来の流体混合概念と実測される混合完了時間との関係を再考するとともに,ニクロム酸イオンによる可逆変色反応とヨウ素の不可逆脱色反応を利用した2つの測定法を利用して混合完了時間を測定し,両者が異なって見える原因について検討した.実験結果によれば可逆反応を用いた場合の色変化終了時間は不可逆反応のそれよりも長くなる.可逆変色反応では,一度変色しても系全体の濃度が均一化するまでは色の復帰が容易に起こりうるため,色変化の完了時間は撹拌槽内の濃度の均一化に必要な時間と一致する.他方,不可逆脱色反応の場合,測定時点で濃度が不均一であっても,過去に一度脱色された領域は再着色される可能性が少ない.すなわち,従来の不可逆脱色反応から混合完了時間を測定する方法では誤差が生じ得る.また,両手法における混合完了時間の差異は,撹拌レイノルズ数が大きくなるほど顕著であった.

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参考文献 (12)*注記

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