微粉炭燃焼時におけるホウ素とセレンの行方

  • 望月 友貴
    秋田大学大学院工学資源学研究科
  • 坪内 直人
    北海道大学大学院工学研究院 附属エネルギー・マテリアル融合領域研究センター
  • 菅原 勝康
    秋田大学大学院工学資源学研究科

書誌事項

タイトル別名
  • Fate of Boron and Selenium during Pulverized Coal Combustion
  • ビフンタン ネンショウジ ニ オケル ホウソ ト セレン ノ ユクエ

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抄録

低品位炭の燃焼時におけるBとSeの分配挙動を決定する因子を明らかにするため,その挙動におよぼす除じん条件と脱硫条件の影響を調べた.その結果,フライアッシュ(FA)の反応器出口から除じんフィルターまでの滞留時間はBの行方にほとんど影響を与えなかったが,Seの場合は時間が長くなるとFA中に保持される量が増加した.次に,炭種の影響を検討したところ,高灰分炭では一般的な灰分含有炭と比較し,Bはボトムアッシュ(BA)に移行する量が多かったものの,試験した炭種間のFAへの移行割合はほぼ同程度であり,その行方は石炭の種類に依存した.これに対し,Seは炭種に依らず燃焼時にほぼすべてが気相に移行し,BA中の量は非常に少なかった.除じん温度の影響に関しては,燃焼時に生成するガス状BのFAへの移行は90–400°Cの温度範囲では観測されなかったが,ガス状Seの量は温度の低下にともない減少し,FA中に濃縮された.このような濃縮が起こる温度域は炭種により異なったことから,FA中に含まれる灰分の組成や排ガス中のSの量(Fe/SやCa/S比)はSeの行方に影響を与えることが示唆された.また,ガス状Seは除じん温度を90°Cにすると,その90%以上がFA中に取り込まれた.脱硫試験では,除じんフィルターを通過したガス状のBとSeの大部分が脱硫溶液に捕捉され,残りは石膏中に移行した.このような試験時の両元素の分配には,脱硫溶液のpHと温度はほとんど影響を与えなかった.微粉炭燃焼時に生成するガス状BとSeの大部分は除じん装置と脱硫装置で除去できることが明らかとなった.

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参考文献 (38)*注記

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