様々な末端基を有するポリエチレングリコール微粒子分散系のエレクトロレオロジー

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タイトル別名
  • Electrorheology of Particle Suspensions of Poly(ethylene glycol) with Various End Groups
  • サマザマ ナ マッタンキ オ ユウスル ポリエチレングリコール ビリュウシ ブンサンケイ ノ エレクトロレオロジー

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抄録

ポリエチレングリコール(PEG)微粒子をシリコンオイル中に分散した系に外部から電場を印加するとその流動性が変化する「エレクトロレオロジー(ER)効果」が発生する.我々はこれまでにPEGの分子量を小さくするとER効果が強くなることを見出しており,主鎖のエーテル基ではなく末端の水酸基がPEG微粒子分散系のER効果の発現に寄与していると考えられる.本研究ではPEGの末端の水酸基を酸化剤により酢酸エステル化およびカルボキシル化したものを合成し,さらに末端が長い直鎖アルキルエステルとなったPEG(エマノーン)を用意しPEGの末端基がその分散系のER効果におよぼす影響を調べた.<br>末端が直鎖アルキルエステルおよび酢酸エステル基の場合は水酸基の場合と比較して微粒子分散系のER効果は弱くなったのに対し,カルボキシル基としたものでは逆に大幅に強くなった.末端が水酸基およびカルボキシル基のPEG分散系について電場印加時に電極間に生じる粒子の鎖状構造を肉眼および顕微鏡で観察したところ,カルボキシル化PEGはやや太いカラムを形成した.末端をカルボキシル化したことで粒子間の引力相互作用が強くなり,鎖状構造が太くなることでER効果が強まったと考えられる.そこでアルコール,酢酸エステルおよびカルボン酸の双極子モーメントの大きさを計算したが顕著な差は見られなかった.PEG末端の水酸基をエステル化した際には水素結合に相当する相互作用が失われるのに対し,カルボキシル化すると1つの末端で2カ所水素結合を作るようになることから,PEG微粒子分散系のER効果には粒子の水素結合が大きな影響をおよぼしていると推測される.

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