ポリフェニレン系高分子電解質における側鎖長の効果

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  • Synthesis and Properties of Sulfonated Poly(phenylene) Polymer Electrolytes with Various Side Chains
  • ポリフェニレンケイ コウブンシ デンカイシツ ニ オケル ソクサチョウ ノ コウカ

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抄録

スルホン化ポリ(p-フェニレン)系高分子電解質は優れた耐熱性と電気化学的特性から,現在一般に用いられているフッ素系電解質材料に代わる電解質材料として注目を集めている.本研究では,側鎖長の異なるスルホン化ポリ(p-フェニレン)誘導体(S-P1,S-P2,S-P3,S-P4)を合成し,側鎖長が分子量,スルホン化率,熱的および機械的特性,含水率,プロトン伝導性などに与える影響を調査した.スルホン化反応においては,側鎖の電子密度がスルホン化率と位置選択性に影響することがわかった.スルホン化ポリマーの熱分解温度は約200–240ºCであり,いずれも燃料電池応用に十分な耐熱性が得られた.側鎖長に依らずガラス転移温度は約200ºCであるのに対して,側鎖長が機械的強度に影響を与えることがわかった.酸基あたりの吸着水分子数(λ)は側鎖の長い試料ほど低い値となり,これを反映して側鎖の長い試料ほど膨潤率が抑制された.プロトン伝導率はイオン交換容量(IEC)値とλ値が高くなるにつれて向上し,側鎖長が最も短いS-P1(2.79)が最も高い値を示した.各電解質膜の発電試験によって,これらの電解質膜は応用に十分な出力特性を有していることがわかった.この中で,S-P2(2.27)が最も高い出力特性を示し,プロトン伝導率から予想される順列とは異なる結果となった.これは,高含水状態における膨潤がキャリア密度の低下をもたらし,高プロトン伝導性の効果を抑制したためと考える.

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