感温性高分子/メソポーラスシリカ複合体の陰イオン交換特性におよぼす感温性高分子被覆量の影響

  • 村上 賢治
    秋田大学大学院工学資源学研究科 環境応用化学専攻
  • 加藤 貴宏
    秋田大学大学院工学資源学研究科 環境応用化学専攻
  • 菅原 勝康
    秋田大学大学院工学資源学研究科 環境応用化学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • Influence of Amount of Thermosensitive Polymer on Anion-Exchange Properties of Thermosensitive Polymer/Mesoporous Silica Composite
  • カンオンセイ コウブンシ/メソポーラスシリカ フクゴウタイ ノ インイオン コウカン トクセイ ニ オヨボス カンオンセイ コウブンシ ヒフクリョウ ノ エイキョウ

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抄録

本研究では,アミノ基修飾メソポーラスシリカを感温性高分子であるポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM)で被覆した複合体の陰イオン交換特性におよぼすPNIPAM量の影響を検討することを目的とした.そのためにNIPAMモノマーや架橋剤N, N′-メチレンビスアクリルアミド(BIS)添加量を変えて種々の高分子被覆量の複合体を合成して構造解析を行い,更に陰イオン交換挙動の温度応答性および陰イオン交換速度を調べた.熱重量分析結果から,NIPAMモノマーやBIS添加量の増加に伴い高分子被覆量は増加し,本研究では,1.0,20.5,37.3,51.2 wt%の高分子を含む複合体を得ることができた.XRDパターンから,複合体は元のメソポーラスシリカの構造を維持しており,六方晶構造であることがわかった.FT-IRスペクトルには,高分子被覆量の多い複合体にのみ,感温性高分子に特徴的なC=O伸縮振動,N–H変角振動およびC–H変角振動の吸収が現れた.SEM観察により,感温性高分子を被覆しても元のメソポーラスシリカの形状や粒子径に変化がないことがわかった.これらの複合体を用いてメチルオレンジ(MO)イオン交換実験を行った結果,いずれの試料でも溶液温度によりMOイオン吸脱着挙動は大きく異なった.すなわち,25˚Cでは,低pHでMOイオンは吸着し,高pHで脱着した.一方,40˚Cでは外部溶液のpHとは無関係にほとんど吸脱着しなくなった.また,25˚Cでの陰イオン交換速度を,以前クリック反応で調製した複合体(PNIPAM被覆量:5.3–12.9 wt%)の結果と併せて検討した.PNIPAM被覆量を増加させると,陰イオン交換速度は単調に減少することがわかった.これは感温性高分子層内のイオンの拡散がイオン交換速度を支配しているためと考えられた.以上の検討より,感温性高分子被覆量は約1 wt%で最適であることがわかった.

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