VI. 階層的自然観(<連載>自然観)

書誌事項

タイトル別名
  • The Hierarchy Structure of Nature (Series on Scientific View of Nature)
  • 連載自然観 6.階層的自然観
  • レンサイ シゼンカン 6.カイソウテキ シゼンカン

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説明

現代科学の基盤にある階層的自然観と進化論的自然観のうち階層性的自然観について論考する。自然界の階層性は物質・時空ばかりでなく,力(相互作用)にも階層性がある。むしろ物質・時空の階層性は力の階層性と力の閉じ込め(遮蔽)機構によって生み出されていることを強調する。物質の有する最も重要かつ基本的な性質は相互作用である。したがって,力の特性を表す3要素,すなわち力の作用する物質の種類,強さ,到達距離について述べ,次いで力の階層構造と閉じ込め(遮蔽)機構を論ずる。それに基づいて物質の階層構造は本質的には力の階層構造と閉じ込め機構により決まることを主張する。また,物質分布あるいは物質構造にみられるフラクタル性も,力の相似性によることを指摘する。最後に,物質的実体と力の階層性に対応して,自然法則(理論)にも階層性のあること,特に力学現象における個々の粒子の素過程は可逆であるにもかかわらず多体系において現れる非可逆性(エントロピー増大則),またマクロ世界の古典力学とミクロ世界の量子力学との対応にみられる法則の階層性に触れる。そして自然の階層は無限か有限かという議論は実証科学として不毛な空論であるとは必ずしもいえないことを,古代原子論が科学の発展に果たした役割を例に考察する。

収録刊行物

  • 物理教育

    物理教育 45 (4), 231-238, 1997

    日本物理教育学会

参考文献 (5)*注記

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