現在までのELマウス研究

  • 鈴木 二郎
    山王精神医学心理学研究所、社団法人のぞみ鈴泉クリニック

書誌事項

タイトル別名
  • Investigations on EL mouse Up to Date

この論文をさがす

説明

<p>本総説は、筆者が15年前に本誌で、てんかんモデルとしてELマウス研究の総説を発表して以後の研究を総括したものである。実験対象にELとDDYマウス(わずかにddN)を用い、神経生理学的に微小電極による頭頂皮質ニューロンの活動解析を行い、安静時の活性低下、発作時の活動増加を明らかにした。生化学、分子生物学的に、頭頂皮質と海馬のGABA系や、DNA等の解析を行い、GABA系活動の異常を見出した。さらにELマウスの発作(seizure)自体の発展と、発作発現性(epileptogenesis)の形成、異常可塑性の様相が明らかになった。またELマウスは、てんかんモデルのみならず、行動異常のモデルとしても有用であることが示された。また培養マウス神経幹細胞neural stem cells(NSCs)の移植により、発作の発現の変化を検討し、治療への新しい方向性も示唆された。本モデルは、常染色体優性遺伝とされてきたが、保有するてんかん発作そのものによる遺伝子変化をきたすepigeneticな可能性を示していることも考えられた。</p>

収録刊行物

  • てんかん研究

    てんかん研究 35 (3), 665-674, 2018

    一般社団法人 日本てんかん学会

参考文献 (11)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ