容量結合型光導電性無機EL素子のSPICE解析と準安定メモリ特性

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タイトル別名
  • SPICE Analysis and Semi-stable Memory Effect in a Capacitance-coupled photo-conductive Thin-film Inorganic Electroluminescent Device
  • ヨウリョウ ケツゴウガタ ヒカリドウデンセイ ムキ EL ソシ ノ SPICE カイセキ ト ジュンアンテイ メモリ トクセイ

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抄録

無機薄膜ELディスプレイの高性能化には高効率蛍光体開発、積層薄膜の光学設計およびパネル駆動技術の3面からの総合的な取り組みが必要である。本報告では駆動技術の観点から特性改善の可能性を見出すため、光導電体をEL膜に積層した光結合型EL素子について、新たに光導電層に固定容量を組み合せた容量結合型光導電性EL(CCPCEL)を考案し、書込・消去特性への改善効果をSPICEシミュレーションにより解析した。その結果、(1)結合容量の付加により、正負一対の変調電圧(±20V)で書込・消去が可能な光導電体の抵抗範囲が大きく拡大され、従来技術に比べてより高い暗抵抗値を有する光導電体の使用が可能になること、(2)特に書込電圧の著しい低減が可能であること、(3)結合容量値の調整により、書込・消去電圧の制御が可能となることなどが分かった。これは結合容量が光導電体とEL素子のインピーダンス不整合を緩和するためと考えられ、膜厚変動・特性変動に対する設計マージンを広げる効果がある。更に、発光の減衰時間および光導電体のキャリア緩和時間に対する書込・消去特性を詳細に調べた結果、安定な動作領域の周辺に発光層の内部分極効果に起因すると思われる準安定メモリ特性を呈する領域が存在することを見出した。即ち、この領域では正負一対の書込みパルスを印加した後に複数回の発光が持続し、発光回数は書込電圧に対して単調に増加する。同効果はアナログ階調表示に使用できる新しいメモリ駆動への可能性を有する。

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