個室成立以後の家族コミュニティーに関する実証的研究(1)
書誌事項
- タイトル別名
-
- A study on family communication after introduction of children's individual rooms into homes
- 子ども部屋のプライベイティズム化現象についての住文化論的考察
- part 1 consideration about privatism of children's rooms from a viewpoint of housing culture theory
この論文をさがす
説明
近代になって住居内に個室が成立した。今や,個室なしの住生活は考えることができない。個室は私室の1つの存在形態であるが,その使い方いかんによっては家族のコミュニティに大きな影響を及ぼすことになる。というのは,個室の方に住生活のウエイトが置かれるようになると家族成員間のコミュニケーションが著しく阻害されるからであり,とりわけ,わが国ではこうした傾向が子ども部屋に顕著であり,子どもが子ども部屋に閉じ籠もる傾向が度々指摘されている。本研究は,こうした現象を「プライベイティズム化現象」,すなわち,「本来プライベート化する必要のない住生活行為が過度に個室へ持ち込まれた現象」と捉え,さらにこの現象は,「住居内の公的空間と私的空間とを意識目的に使い分ける行動様式」が未成立であることに要因していること,従って,プライベイティズム化現象は個室成立以後の住生活における基本的な矛盾を内在したもので,この解決にあたっては住文化論的視点が不可欠であると考えている。以上のような問題意識から,①プライベイティズム化現象を実際の子ども部屋での〈過ごし方〉から実証し,②その形成起因を子ども部屋の〈与え方〉,〈過ごさせ方〉から考察したもので,その結果,プライベイティズム化現象は,公的,私的とも判別されにくい,いわゆる,中間的行為の持ち込み度合いによって規定されること,中でも「勉強」や「遊び」,「趣味」等の行為の持ち込みによって主に規定されていること,加えて子どもに一旦プライベイティズム化現象が生まれると,子どもの成長とともに内在化し家族コミュニティに重大な影響が出ていること,さらに,こうしたプライベィティズム化現象の形成は,親の子ども部屋の与え方と与えた後の子ども部屋の過ごさせ方に大きく起因していることが明らかになった。
収録刊行物
-
- 住宅建築研究所報
-
住宅建築研究所報 13 (0), 105-114, 1987
一般財団法人 住総研
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390282679524259840
-
- NII論文ID
- 130006730077
-
- ISSN
- 24239860
- 02865947
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可