「協同のハウジング」に関する比較研究

書誌事項

タイトル別名
  • A comparative study on cooperation in housing
  • theory of community housing

説明

この『「協同のハウジング」に関する比較研究』の目的は,まず「協同のハウジング」の概念を明確にすること,つぎに,「協同のハウジング」の実践的事例を分析し,協同の実態,協同の契機を明らかにすることにある。キーワーズは,「協同」と「ハウジング」である。まず,「協同」では,各国の住宅地計画を,歴史的に,また相互に比較しながらながめた時,ある社会・経済的条件の下では,「公」でも「私」でもない「協同」の力による建設が強くあらわれ,「公」と「私」を補完していることに注目した。貧しい時代のコ・パートナーシップ・ハウジング(協同出資型住宅),豊かな時代のコープ住宅などである。そして各国の住宅地計画を「協同」の系譜として捉えようと努めた。 また「ハウジング」概念は,第三世界の都市現実に学んだターナーの理論に依拠した。住宅地の計画・建設・管理のプロセスに,いかに住み手が主体的に関与しうるかが,いい住宅地の条件であるという捉え方である。取り上げた事例は,今世紀はじめのイギリスのブレンサム田園都市郊外,同じく今世紀はじめのフランスのドラビエル田園都市郊外である。ことに前者は,新たに資料を発掘することができ,細かに分析できた。そして,よりよい住まいをもとめる「住み手」と慈恵家,住み手の間の協同の努力,富をなしたものの協力,すさまじいばかりの「自助の努力」などを発掘することができた。「相互扶助,自助,土地の共同経営」である。こうした努力の背景には「繁栄の共有」という考え方があった。いかにして取り残された人びとに,その豊かさを分かち与えることができるか,という点である。効率を求め達成された豊かさを,公平,平等にいかに振り向け得るか。その問いかけは意味深い。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282679524488704
  • NII論文ID
    130006730235
  • DOI
    10.20803/jusokennen.18.0_277
  • ISSN
    24239879
    09161864
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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