東京を中心とした大都市圏住宅問題の新たな展開と自治体住宅政策の役割及びその効果に関する研究(1)

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タイトル別名
  • A study on the possibility and effects of local governments' housing policy (1)

抄録

1980年代後半に入って地価高騰などにより大都市を中心とした住宅問題は一層深刻化した。本研究は,このような事態に対してどのような住宅政策が取られるべきかという基本テーマのもと,特に自治体の住宅政策に着目し,その役割や効果を明らかにすることを目的としている。自治体は住民の基本的な生活の場であり,自治体こそが単なる住宅供給政策を超えて総合的な政策を展開しうると考えられるからである。2年にわたる研究のうち,第1年度は,東京圏全体の住宅問題を視野におさめつつ,基礎自治体-東京23区レベルの住宅政策の実態・現状を明らかにすることを目標においた。研究の前半では,自治体住宅政策登場の背景としての住宅事情の変化を東京圏および東京都について検討した。基本的な論点は,すでに多くのレポートによって指摘されていることとかわらない。すなわち,従来からの問題がそのまま残っていること,そこに新たな問題が積み重なっていること,戦後の住宅政策がもはや有効に働きえないこと,などが明らかになる。研究の後半は,東京23区の住宅政策に対する姿勢の変化及び住宅諸施策の把握である。各区で多彩な政策が展開されているが,それらをできるかぎり網羅し論点を整理するようにつとめた。それらを,1)地価高騰に対してとられた住宅施策,2)自治体住宅政策とその供給・供給促進・借り上げが,後者では,住宅条例などに見られる自治体の主体性確立と政策の総合化が主要なテーマとなっていることが明らかとなる。これらの検討を通して,a)各種住宅施策ルーツについての「公共性」の論理と効果,b)各行政レベルの政策形成における相互関係の実態とあり方,c)都市・住宅・建築政策の政策効果の具体的把握,などがあらたな研究上の課題として浮かびあがった。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282679524491776
  • NII論文ID
    130006730237
  • DOI
    10.20803/jusokennen.18.0_257
  • ISSN
    24239879
    09161864
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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