脳血管の神経支配と片頭痛の病態

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タイトル別名
  • Innervation of cerebral vessels and pathogenesis of migraine
  • 特別講演 脳血管の神経支配と偏頭痛の病態
  • トクベツ コウエン ノウケッカン ノ シンケイ シハイ ト ヘンズツウ ノ ビョウタイ

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抄録

「頭痛」 は最も一般的な自覚症状で 「頭痛」 を経験したことのない人はいないと言っていいほどかもしれません。 頭痛は大きく3つに分類されます。 二日酔いの時や、 かき氷を食べた直後に起こる頭痛などの日常的に起こる頭痛。 次に、 くも膜下出血、 脳出血、 髄膜炎、 脳腫瘍などの脳とその周囲、 たとえば眼や副鼻腔や顎関節などに原因がある頭痛。 これらはまとめて 「器質性疾患にともなう症候性頭痛 (二次性頭痛)」 と呼ばれます。 最後が一次性頭痛と呼ばれる 「慢性頭痛」 です。 すなわち頭痛が一度では治まらず月に1~2回、 重症の場合にはなんと毎日頭痛で悩まされる状態です。 慢性頭痛は、 生命を危ぶむことはないものの、 頭痛によって生活に支障をきたしてしまうものです。 ようやく最近になって確実な治療法が現れたということ、 そして思った以上に悩んでいる患者さんが多く、 患者さん自身の仕事の能率 (勤務や家事)、 人間関係、 雇用状況、 仕事の将来性など、 社会生活や家庭生活に大きく影響を及ぼしていることが分かってきた、 ということで話題になっている頭痛です。 慢性頭痛には片頭痛、 緊張型頭痛、 群発頭痛の3つがあります。 特に片頭痛はこれまで長い間、 頭蓋内外の血管自体の疾患、 であると考えられてきました。 しかし、 片頭痛前兆の研究やトリプタンの薬理作用機序などから、 現在では血管疾患ではなく、 大脳を中心とした中枢神経の疾患としてとらえるべきであるという概念が有力になってきています。 すなわち、 片頭痛のメカニズムは中枢神経系において生じた変化が二次的に脳血管を支配するように分布する三叉神経を活性化させ血管を拡張させ、 さらに炎症を起こさせて疼痛を発生させるという考え方が主流になっています。

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参考文献 (63)*注記

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