建築・医療・保健・福祉の連携による住宅改造のシステム化に関する研究
書誌事項
- タイトル別名
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- A study on the systematization of house adaptations by coordinating architecture, medical care, hygiene, and welfare
抄録
これからの高齢社会においては,高齢者・身障者が住み慣れた住宅に,自立的に住み続けられることは大変大事なことである。本報告ではこれを推進するためには,建築・医療・保健・福祉の各専門分野の協力のもとで住宅改造が実施できるようなシステムづくりが重要と考え,現在の社会状況をつぶさに調査し,システム化に向けての課題を考察した。本研究で以下の問題点が明らかになった。(1)自治体の多くは改造費助成を実施し,補助金の交付もその半数程度あるが,これらの多くは対象が障害者に限られ,高齢者施策として取り組まれているものは少ない。(2)現在,専門家チームの改造相談・指導を実施している自治体,実際に自宅訪問をする自治体はあまり多くない。(3)自治体が挙げる施策上の問題点は,専門職の確保,情報・資料の収集,ニーズの発掘,フォローアップが難しいことなどである。(4)リフォームヘルパー制度については,社会福祉協議会を窓口として取り組む自治体や,在宅介護支援センターを中心に取り組む自治体などの例が見られるが,リフォームヘルパーの現在の報酬は不十分である。 (5)住宅全融公庫の利用層は,3世代住居の居住者で,比較的居住水準の高い場合が多い。(6)集合住宅の改造を促進するためには,共有部分の改造に対応できる工事方法,補助制度の整備が求められる。(7)賃貸住宅の改造を促進するためには,大家や住宅管理者が主体的に関わることのでさる補助制度の整備や,改造困難な場合には近隣の改造しやすい住戸ヘの転居を促進できる仕組みづくりなどが求められる。(8)今後は自治体の補助制度と公庫融資をうまく合体させて,より広範な住宅改造を行なえるようにするなど,福祉政策と住宅供給政策がより緊密に連携されるべきである。(9)人的資源の交流として,公庫の登録建築士を自治体の補助事業に活用すること,また公庫融資による工事にも自動的に自治体等の理学療法士・作業療法士が計画・査定の段階で加わるなども考えられる。
収録刊行物
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- 住宅総合研究財団研究年報
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住宅総合研究財団研究年報 21 (0), 287-299, 1995
一般財団法人 住総研
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282679525653888
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- NII論文ID
- 130006730367
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- ISSN
- 24239879
- 09161864
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可