CT診断の意義-脳神経外科の立場から

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抄録

は, 脳腫瘍を主とする頭蓋内占拠性病変の脳神経外科における臨床上,(1) 多発性病変, 正中部病変, 複雑な進展形式を示す病変,(2) 腫瘍の髄液腔内播種,(3) 石灰化や出血などの二次性変化,(4) 髄液腔の変形や転位, 脳ヘルニア,(5) 骨の一次性, 二次性変化, などの診断, さらには,(6) 治療効果の判定や合併症の診断,(7) いわゆる“low-density lesion”の局在診断, などの諸点で, 他の多くの補助診断法に比し, よりすぐれている.とくに, この検査は, それがnon-invasiveであるために, 小児例においてその意義はさらに高い.<BR>ただし, 病変の種別の判定に関しては, CT画像の視覚による診断のみに頼った場合はもちろん, 得られた画素のX線吸収値について各種の計数処理をコンピュータで行ない, 特徴抽出を試みても, 少なくとも現在のCTのテクノロジーによってはなお鑑別, あるいは同定困難な例も少なくない.したがって, CTの発達と普及にも拘らず, 他の各種の補助診断法の意義が失なわれたわけではなく, 各例にどの検査をどの様に実施すべきかの決定は, なおきわめて重要な課題である.

収録刊行物

  • 脳と発達

    脳と発達 12 (2), 113-121, 1980

    THE JAPANESE SOCIETY OF CHILD NEUROLOGY

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