Thiramとその関連化合物に関する研究(第12報)

書誌事項

タイトル別名
  • Studies on Thiram and its Related Compounds. Part XII
  • Thiram ト ソノ カンレン カゴウブツ ニ カンスル ケンキュウ 12
  • The Inhibition on the Oxygen Absorption by Microorganism and Cell-free System
  • 生菌および無細胞酵素液の酸素吸収に対する阻害作用

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説明

(1) Thiram, bis (dimethylthiocarbamoyl) monosulfide, dimethylammonium dimethyldithiocarbamate, sodium dimethyldithiocarbamate, methyl dimethyldithiocarbamate,およびtetramethylthioureaの生菌(Bacillus subtilis)の呼吸に対する阻害作用を試験し,その結果,阻害度は上よりそれぞれ78.0% (2×10-5M), 71.9% (4×10-5M), 63.2% (4×10-5M), 25.2% (2×10-3M)および9.6% (4×10-3M)であった.これは分生胞子発芽抑制試験および阻止円法試験の成績と同傾向であった.<br> (2) 1)と同様の化合物について,菌体より調製した無細胞酵素液(Rizopus nigricansより調製)の酸素吸収に対する阻害作用を試験した.その阻害度は上より65.8% (1×10-5M), 68.5% (2×10-5M), 63.0% (2×10-5M), 70.6% (2×10-5M), 8.1% (1×10-3M)および2.7% (2×10-3M)であった.この成績は生菌の呼吸阻害実験とよく対応し,したがって細胞膜透過性の問題は,これら化含物の抗菌作用発現に対して影響がないと推定される.<br> (3) 先報(1,2,9)の結果を考慮に入れて1)および2)の成績を考察すると, thiramおよびその関連化合物の抗菌作用発動の根元は,これらが水中で電離して生ずるdimethyldithiocarbamate ionであると結論される.しかして,菌体内にこのイオンが侵入し,代謝系酵素の活性を阻害することが抗菌作用発動の機構であると結論される.<br> 終りに臨み,本研究に対し機会を与えられた国立衛生試験所刈米所長ならびに実験に御協力いただいた倉田真菌研究窒長に厚くお礼申し上げる.<br> なお本報告は昭和36年7月8日,日本農芸化学会関西支部例会(第181回)において講演した.

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