東アジアにおける乾性沈着モニタリング手法の開発

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タイトル別名
  • Development of a methodology for dry deposition monitoring in East Asia
  • ヒガシアジア ニ オケル カンセイ チンチャク モニタリング シュホウ ノ カイハツ

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抄録

東アジアにおける乾性沈着モニタリングの手法の確立を目的として,当該地域における乾性沈着直接測定とそれに基づく沈着速度推計手法の開発に関する研究を実施した。乾性沈着推計の導入として,欧米で開発された沈着速度推計式を適用して,国内および東アジアにおける硫黄酸化物の乾性沈着推計を行った。沈着速度推計手法の東アジアへの適用性を検討するために,ガス状物質の乾性沈着直接測定を国内およびタイの森林において実施した。国内においては,長野県にあるアカマツ林において,熱収支ボーエン比法による二酸化硫黄の乾性沈着直接測定を実施し,秋季,日中12:00から14:00の間の沈着速度実測値(0.9 cm/s)を得た。タイでは,ランパン地方にあるチーク林において,オゾンと二酸化硫黄の空気力学的濃度勾配法による乾性沈着直接測定を実施した。その結果,オゾンと二酸化硫黄の沈着速度は,昼夜間共に,乾季に低く雨季に高いという明確な差異を持ち,これは,雨季においてキャノピー表面が湿潤となる期間が増加し,外表面への取り込みが促進されることによることを明らかにした。この取り込み促進効果は二酸化硫黄で顕著であった。さらに,雨季の日中に沈着速度が最大になるのは,前者の効果に加え,気孔からの取り込みが増加したことによることを明らかにした。乾季におけるオゾンの表面抵抗は,気孔への取り込みよりも空気力学的な要素の影響を受けていることが示唆された。国内外での乾性沈着フィールド研究の成果の集約を目的とし,東アジアの実際の地表面を対象として実施された乾性沈着研究に関する最新の知見(2002年~2007年頃)について取りまとめた。集約された知見を踏まえ,当該推計手法を東アジアの沈着面に適したものになるよう改良を施した。

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参考文献 (29)*注記

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