群飼管理下における育成期のイノシシの行動および飼育施設の場所利用

書誌事項

タイトル別名
  • Behavior and Use of Space by Japanese Wild Boars, Sus scrofa leucomystax, in Rearing Stages
  • グンシ カンリカ ニ オケル イクセイキ ノ イノシシ ノ コウドウ オヨビ シイク シセツ ノ バショ リヨウ

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説明

イノシシの適切な管理方法を検討することを目的とし、飼育環境下におけるイノシシの行動と利用場所を調査した。平均25日齢で離乳した3腹の子イノシシ10頭(雄5頭・雌5頭)を1群にまとめ、分娩房(5.4m×1.8m)で3ヵ月間飼養した。その後、屋外の放飼場(10m×10m)に移動した。調査1 : 観察期間は離乳直後からの4ヵ月間とした。観察にはビデオカメラを用いた。分娩房では離乳日および2・3・5・7・15・25・35・50・90日目に、放飼場では移動後1・2・3・7・15・25日目に活動と休息に分けて記録した。分娩房と放飼場をそれぞれ5分割と8分割し、イノシシの利用する場所も記録した。子イノシシの1日の活動は朝夕の給餌時間を中心とした二峰性を示した。放飼場への移動後も同様の活動リズムであった。休息を除いた活動の割合は離乳日に最も高い値(日中76%・夜間46%)を示した。保温箱の利用は経日的に変化し、離乳2日後に47%見られたが、90日後には8%まで減少した。保温箱周辺の利用は3日目以降、徐々に増加した。また、広場では保温箱に近い方が作業通路側よりも多く利用された。放飼場においては、導入時、出入り口付近が多く利用された。天候が悪かった3日目に水飲み場の利用が減少し, 屋根のある場所の利用が多くなった。調査2 : 観察は放飼場への移動1年後に3日間行ない、肉眼で記録した。放飼場を16分割し、イノシシの行動と利用した場所を記録した。イノシシは給餌時間を中心とした活動リズムを示し、1年前の調査と比べ、大きな変化は無かった。行動は休息が最も多く、探査、歩行、停立、摂食、他個体との接触、飲水の順であった。また、敵対行動が多く見られるようになった。放飼場の利用については、出入口のある区画の利用が高く、放飼場の中央部は少なかったものの、イノシシは時間帯によって利用する場所を変えていた。日本家畜管理学会誌、35(1) : 7-17、1999 1998年8月31日受付1999年4月16日受理

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参考文献 (19)*注記

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