肝動脈走行変異を伴う膵頭部癌に対し術前に血管塞栓術を行い安全に亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した1例

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タイトル別名
  • Successful pancreaticoduodenectomy for pancreatic cancer with an aberrant hepatic artery following hepatic arterial alteration by selective embolization: A case report

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抄録

<p>症例は53歳男性.腹部造影CTで膵頭部に造影効果のない低濃度腫瘤を認め,膵頭部癌と診断した.腹腔動脈幹からは総肝動脈分岐はみられず,膵頭部膵内を上腸間膜動脈から分岐した膵アーケードを介し,右肝動脈へと続く脈管を認めた.血管造影を行い,まず上腸間膜動脈から膵頭部領域までカテーテルを選択的に誘導し,バルーンにて閉塞した.しばらく時間をおき腹腔動脈から造影を行うと,左胃動脈経由の左肝動脈から右肝動脈領域へのコミュニケーション血管が拡張し,右肝血流を認めたため,膵頭部域での血管塞栓術を施行した.塞栓術後も肝機能悪化は認めず,22日後に亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.術後も肝不全なく退院した.膵癌の手術では,根治性の追求と臓器血流の温存が重要である.本症例では術前画像検査で膵内を通る肝動脈走行変異を認めたが,血管塞栓術にて肝血流を改変し,根治性を損なうことなく安全に手術を施行し得た.</p>

収録刊行物

  • 膵臓

    膵臓 31 (4), 679-687, 2016

    一般社団法人 日本膵臓学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (12)*注記

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