奇異性脳塞栓症におけるEustachian valveの意義

  • 加藤 裕司
    埼玉医科大学国際医療センター神経内科・脳卒中内科
  • 傳法 倫久
    埼玉医科大学国際医療センター神経内科・脳卒中内科
  • 武田 英孝
    埼玉医科大学国際医療センター神経内科・脳卒中内科
  • 棚橋 紀夫
    埼玉医科大学国際医療センター神経内科・脳卒中内科

書誌事項

タイトル別名
  • Significance of Eustachian valve in paradoxical cerebral embolism

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説明

下大静脈弁(Eustachian valve; EV)は胎生期の右房遺残構造物で,従来,病的意義がないとされてきたが,近年,欧米の循環器領域を中心に,卵円孔の自然閉鎖を阻害し,右-左シャントを助長することで奇異性脳塞栓症を惹起するとの報告が相次いでいる.一方,本邦では同様の報告はほとんどない.EVの頻度については,人種差を考慮する必要があるが,本邦では見過ごされている可能性がある.EVは高率に卵円孔開存症を合併し,右-左シャントを助長するとともに,末梢静脈からの栓子を捕捉,あるいはEVそのものが血栓形成の温床になることで奇異性脳塞栓症の原因となりうるから,10 mm以上の比較的大きいEVには留意する必要がある.

収録刊行物

  • 脳卒中

    脳卒中 33 (5), 480-487, 2011

    一般社団法人 日本脳卒中学会

参考文献 (34)*注記

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