ハイリスク・イノベーションにおける研究者ネットワークの役割 : 創薬における日米比較

書誌事項

タイトル別名
  • Roles of Researcher-Networks to High Risk Innovation : US-Japan Comparative Research on New Drug Development
  • ハイリスク イノベーション ニ オケル ケンキュウシャ ネットワーク ノ ヤクワリ ソウヤク ニ オケル ニチベイ ヒカク

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抄録

人間の生命に関わる医薬品の場合,どんなに科学研究が進んでも予測し難い副作用の危険性が常に存在する。画期的な薬効を持つ薬を創薬する場合,付随するリスクにどのように対処しながら開発を進めるかが大きな課題となる。本稿はスタチン系高脂血症薬の開発に着目し,どのような条件下において企業のハイリスク・イノベーションに対する意思決定が可能になるのかに関して,イノベーション・システムの観点から分析した。日米比較によって,ハイリスク・イノベーションを成功に導くためには,企業レベルの合理的意思決定に加えて,一国の研究者ネットワークが重要な役割を果たすことを明らかにした。スタチンの場合,日本企業が内部で候補物質を発見していたにもかかわらず研究者ネットワークの支援がないために候補物質を上市するのに失敗したのに対して,米国企業はNIHを介在した研究者ネットワークの支援を得て創薬に関する情報共有と合意形成を実現し,候補物質のブロックバスター化に成功した。ハイリスクに対処するためには企業が外部の研究者ネットワークを活用する必要があり,本稿では,ハイリスク・イノベーションを考察する際に,研究者ネットワーク分析が方法論的に有効であることを明らかにする。

収録刊行物

  • 研究 技術 計画

    研究 技術 計画 22 (1), 45-55, 2007

    研究・イノベーション学会

参考文献 (20)*注記

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