凍結肩に対する肩関節の臨床解剖学に基づく運動療法の試み

  • 大槻 桂右
    ハーベスト医療福祉専門学校 きのこ老人保健施設 リハビリテーション部
  • 石倉 隆
    大阪保健医療大学 理学療法学専攻 柴田病院 リハビリテーション部

書誌事項

タイトル別名
  • A Clinical Anatomical Physical Therapy Approach for Frozen Shoulder Joint Patients
  • トウケツ カタ ニ タイスル カタカンセツ ノ リンショウ カイボウガク ニ モトズク ウンドウ リョウホウ ノ ココロミ

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抄録

〔目的〕本研究の目的は,肩関節の臨床解剖学に基づく運動療法の適応と意義について検討することである。〔対象〕対象者は凍結肩と診断された男性患者20名(平均年齢54.0±3.3歳,右肩14例,左肩6例)を対象とした。〔方法〕従来の運動療法を実施後に臨床解剖学に基づく運動療法を実施した。内容は(1)上腕骨解剖軸回旋を用いた肩関節可動域運動,(2)肩甲下筋の第五,六頭の筋腹の直接的な伸張 (3)小円筋と上腕三頭筋が交差する部位の軽度圧擦,(4)肩甲上静脈に対する軽度圧擦,とした。(1)から(4)はランダムに全て実施した。肩甲骨固定の有無による肩関節の屈曲,外転,外旋,内旋可動域,ならびに肩関節の総合機能,疼痛については日整会肩関節疾患治療成績判定基準(The Japanese Orthopaedic Association: JOA score)を用いて評価し,4週間後のそれぞれの値をt検定にて検討した(p<0.05)。〔結果〕関節可動域は肩甲骨固定有りと肩甲骨固定なしともに,屈曲,外転,外旋,内旋可動域にそれぞれ有意な増加が認められた。JOA scoreは15.0±6.0点から25.7±3.0点へと有意な増加を示した。〔結語〕臨床解剖学に基づく運動療法は,肩関節を挙上方向へ伸張した時に第二肩関節周辺に痛みを起こす症例や肩甲上腕関節の関節可動域が減少している症例において,手術的治療を選択する前に試みられるべき保存的治療の有効な一手段であると考えられた。<br>

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