反犯罪性思考プログラムの受講が受刑者の怒りの統制と問題解決法に与える影響―認知行動モデルによる一般改善指導の効果の検討―

書誌事項

タイトル別名
  • The impact of Anti Criminal Thinking Program on prisoner's anger management and problem solving: An exploratory study of the effect of general guidance for reform based cognitive behavioral model
  • ハン ハンザイセイ シコウ プログラム ノ ジュコウ ガ ジュケイシャ ノ イカリ ノ トウセイ ト モンダイ カイケツホウ ニ アタエル エイキョウ : ニンチ コウドウ モデル ニ ヨル イッパン カイゼン シドウ ノ コウカ ノ ケントウ

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抄録

<p>本研究の目的は,反犯罪性思考プログラム(Anti Criminal Thinking Program:以下,ACTと記す)の受講が受刑者の怒りの統制と問題解決法に与える影響を検討することであった。A指標として判定された初入の受刑者(男性及び女性)を主に収容する刑事施設に入所中の者252名に対して,一般改善指導プログラムの一環としてACTを実施し,その前後に調査を行った。調査は,①日本語版STAXI-2, ②TAC-24, ③主観的な感覚としての人格特性的自己効力感尺度,④P-Fスタディで構成された。ACT実施前の得点(pre)と後の得点(post)について,調査時期,罪種をもとに分類した群及び性別を要因とした3要因混合計画の分散分析を行ったところ,結果の概要は,次のとおりであった。(1)STAXI-2:状態怒り3下位尺度ともにpreに比べてpostが低下。暴力的な犯罪を行った者において,特性怒り,AX-in, AX-outが低下,AC-in, AC-outが上昇,(2)TAC-24:群,性別に関わらず,肯定的解釈,計画立案,情報収集が上昇。暴力的な犯罪を行った者において,気晴らし,責任転嫁が低下,(3)効力感尺度:群,性別に関わらず上昇,(4)P-Fスタディ:E-D%, GCRが低下,N-P%が上昇。以上の結果から,ACTの受講後,怒りの統制が高まり,積極的な問題解決を図る傾向が促進されるなど,プログラムの主旨から期待される変化が概ね認められた。また,行った犯罪が暴力的なものか否かによってACTの及ぼす影響は一部異なることが示され,今後,どのような対象に本プログラムを実施するのがより効果的かを精査していく必要性が提起された。</p>

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