HIV感染症と人口移動 : 1986-2001年における東南アジア出身者を対象とした生態学的研究

  • 西浦 博
    財団法人結核予防会結核研究所:インペリアルカレッジ感染症疫学教室:広島大学大学院保健学研究科
  • 今津 里沙
    財団法人結核予防会結核研究所:ロンドン大学衛生熱帯医学校公衆衛生・社会政策講座
  • 吉山 崇
    財団法人結核予防会結核研究所
  • 野内 英樹
    財団法人結核予防会結核研究所
  • 沢崎 康
    財団法人エイズ予防財団
  • 梯 正之
    広島大学大学院保健学研究科
  • 石川 信克
    財団法人結核予防会結核研究所

書誌事項

タイトル別名
  • HIV Notification and Migration : Epidemiological Analysis of Migrants from Southeast Asian Countries during 1986-2001

この論文をさがす

抄録

わが国では1991-1992年にかけて外国人におけるHIV感染者の報告数の急増と引き続く激減を認めたが,未だ在日外国人中のHIV感染症の動向に関する詳細な説明が施されていない。われわれは東南アジア6力国を出身とする者を対象として,わが国で実際に報告されたHIV感染の新規登録者数と推定感染者数との間における生態学的相関関係を検討した。まず,逆計算法を応用することによって,対象とする国の母国における時系列のHIV感染症の粗有病率を推定した。その上で,出入国統計と粗有病率を利用して,1986-2001年の各年度に対象国出身で日本に滞在している外国人における大まかなHIV感染者数を算出した。それらを基に実際のHIV感染新規登録数との生態学的相関関係を検討するために単変量および多変量線形回帰分析を実施した。わが国でのHIV感染症報告数に対して,東南アジア対象国出身者のうちの時点滞在者数(R^2=0.2800),およびそれらの間における推定されたHIV感染者数(R^2=0.6007)の両方に相関関係を認めた。このことから東南アジア諸国を出身とする外国人の出入国の動向,およびそれと同時に背景因子としての各国におけるHIV感染症流行状況が,わが国でのHIV感染症報告数に影響を与える主な要因であることが示唆された。また,以上の分析と共に重要と思われる他の要因を考察した。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ