W6-3  移植対宿主病(GVHD)の基本病態

説明

 同種造血幹細胞移植は,移植片対白血病効果(GVL)により白血病などの血液悪性疾患に治癒をもたらす治療法として確立しているが,移植対宿主病(GVHD)は致死的合併症として今日なお重要な克服すべき課題である.GVHDは,同種免疫反応としての急性GVHDと,移植後約100日以降に発症し自己免疫疾患様の病態を示す慢性GVHDに大別できる.ホスト抗原提示細胞(APC)は,移植前治療(全身放射線や抗癌剤)によって発生した組織からの危険信号を,感知し成熟・活性化する.ドナーT細胞は活性化したAPCから同種抗原を提示され,活性化しエフェクターとして組織障害(GVHD)とともにGVL効果を発揮する.その他のマクロファージ,NK細胞,B細胞,血管内皮細胞などドナーおよびホストの細胞がGVHDを修飾する.最終的にT細胞は自律的に活性状態から免疫寛容へ向かうが,制御性T細胞によって能動的な寛容も誘導される.一方,慢性GVHDは,移植前治療や急性GVHDによる胸腺障害,自己応答性T細胞の出現,中枢および末梢性免疫寛容の破綻により自己免疫疾患様の病態が発症すると考えられている.本講演では,主にマウスモデルによって得られた最新の知見を基に,GVHDの基本病態について概説する.<br>

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