モーニングセミナー2 炎症性疾患とMAIT細胞

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抄録

<p>  免疫応答を調節する細胞として,自然リンパ球が注目されている.自然リンパ球は,組織に多く存在してサイトカイン産生能が高く,外部環境に対応して自然免疫系にも獲得免疫系にも影響をあたえることから,様々な免疫応答に関与する.抗原受容体を有しないInnate lymphoid cell(ILC)と,可変性の限られた抗原受容体を有するグループに大別される.後者に属するMucosal associated invariant T(MAIT)細胞は,多型性のないMHC class Ibに属するMR1に提示された抗原を認識することから,抗原を使った細胞の特異的制御が可能な点が免疫療法の標的として魅力的である.抗原としては,リボフラビン合成経路の中間代謝産物が知られており,その増殖には腸内細菌に依存することが報告されている.MAIT細胞はヒトで頻度が高く,自験データでは末梢血のαβT細胞の数%を占める.大腸粘膜ではT細胞の10%を超え,潰瘍性大腸炎の炎症の部位では3割にのぼる.MAIT細胞は,さまざまな病態にも関与することがわかってきているので,ヒト疾患や病態モデルでの結果を交えて紹介する.</p>

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