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抄録
血管炎はSLEやSSの病態の一つとして知られている.全身浮腫で発症しSLE・SSと診断した症例を報告する.【症例】15歳女児 14歳6ヶ月時に感冒に罹患し,半月後に発熱と倦怠感が出現した.血小板減少とFDP上昇,肝逸脱酵素上昇と血沈・CRP亢進があり,CT上肺炎と腹水を認めた.感染症に伴うDICの診断で治療されたが改善なく,呼吸苦と全身浮腫が出現した.CT上胸水出現と腹水増加があり,精査加療目的に当院へ転院した.転院時に頬部紅斑,肝脾腫,リンパ球減少を認め,抗核抗体・抗SS-A抗体が陽性であった.皮膚生検でperivascular dermatitisを認め,以上よりSLEと診断した.蛋白尿は軽度で,便中α1アンチトリプシンクリアランスは正常であった.MRシアログラフィーで耳下腺のT2高信号域の増加を認め,口唇生検はGreenspan分類grade 2でありSSと診断した.PSLとアルブミン・利尿剤で状態の改善を図り,mPSLパルス療法3クールと低用量シクロフォスファミド(IVCY 500 mg/dose,隔週投与)療法6クールを施行した.その後PSL・アザチオプリン内服で病勢は安定している.発症前は体重60kg,入院時65kg,最高79kgまで増加し治療とともに58.5kgとなった.mPSLパルス2クール後の腎生検で管内増殖性糸球体腎炎の所見を認めた.半月体形成・硬化病変や免疫複合体の沈着はなかった.SLE・SSを背景として,炎症によるアルブミン産生低下と血管炎による透過性亢進で全身浮腫をきたしたと考えられた.
収録刊行物
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- 日本臨床免疫学会会誌
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日本臨床免疫学会会誌 38 (4), 373b-373b, 2015
日本臨床免疫学会