障害児を持つ母親の評価と期待の構造

書誌事項

タイトル別名
  • Cognitive Structure of Evaluations and Expectations by Mothers Who Had Children with Disabilities
  • ショウガイジ オ モツ ハハオヤ ノ ヒョウカ ト キタイ ノ コウゾウ

この論文をさがす

説明

本研究は、家庭において障害を持つ子供の養育の主たる担い手である母親の意識に焦点を当て、(1)その配偶者との関わりについての認知的構造、(2)子供の治療・教育についての社会への期待の構造、(3)それらの構造と子供の障害の種別との関連、の3点を明らかにすることを目的とした。調査は質問紙によって行われた。子どもの障害と対象数は自閉25名、精神発達遅滞50名、視覚障害46名、聴覚障害57名、肢体不自由53名であった。結果は次の通りである。(1)母親の認知全体を因子分析したところ、主要な因子として「自己の評価」、「夫への期待」、「夫への評価」について別々に2因子ずつ計6因子が抽出され、配偶者との間に葛藤の存在する可能性が指摘された。(2)社会への期待を数量化III類によって分析したところ、消極的、前向き、中間的の3つの態度群に分かれ、消極的態度群がさらに3つに分化していることがわかった。(3)因子分析と数量化III類による結果に基づき、障害の類種についての判別分析をしたところ、各障害ごとに誤判別の生じ方に異なる特徴がみられ、母親の意識が、子どもの障害の特徴に対応する家庭での実際の養育行動や、養育者を取り巻く家庭の状況などを媒介として形成されてくる可能性が考察された。

収録刊行物

  • 特殊教育学研究

    特殊教育学研究 31 (1), 1-10, 1993

    一般社団法人 日本特殊教育学会

被引用文献 (4)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ