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- 中西 憲司
- 兵庫医科大学 学長
書誌事項
- タイトル別名
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説明
気管支喘息は可逆性の気道狭窄と気道過敏性亢進を特徴とする慢性気道炎症である.アトピー型(Th2細胞/IgE抗体依存)と非アトピー型(IgE抗体非依存)に大別される.Th2細胞は活性化されるとIL-4, IL-5, IL-13を産生するが,実際にはIL-13だけでも気道過敏性亢進とムチン産生亢進を誘導できる(Wills-Karp, Science, 1995).私達はIL-18とIL-33がIL-13の上流に位置するサイトカインであることを見いだした.周知のとおり肥満細胞と好塩基球は,アレルゲン・IgE複合体刺激で活性化される.私達は肥満細胞と好塩基球がIL-18RとIL-33Rを発現しており,IL-18またはIL-33で刺激されるとIL-4, IL-13, ヒスタミン等を産生することを明らかにした(PNAS, 1999, Int Immunol, 2008).更に,IL-18またはIL-33を経鼻投与することで,気管支喘息を誘導出来ることも明らかにした.正常マウスを用いた場合は,どちらのサイトカインを投与されても内因性のIL-13の産生が誘導され,気管支喘息を発症した.一方,T細胞とB細胞を欠損したRag2KoマウスはIL-33を投与された場合のみIL-13が誘導され,気管支喘息を発症した.解析の結果,IL-18はNKT細胞を刺激してIL-13の産生を誘導すること,一方,IL-33は2型自然リンパ球ILC2を刺激してIL-13の産生を誘導することなどが明らかとなった(PNAS, 2012).最後にアトピー性皮膚炎でも,角質細胞で過剰産生されたIL-33がILC2を刺激してIL-5とIL-13の産生を誘導することで,アトピー性皮膚炎を誘導することなどが明らかとなった(PNAS, 2013).
収録刊行物
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- 日本臨床免疫学会会誌
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日本臨床免疫学会会誌 38 (4), 232-232, 2015
日本臨床免疫学会