シンポジウム3-4 シェーグレン症候群におけるHTLV-I感染と免疫異常

  • 中村 英樹
    長崎大学大学院医歯薬学総合研究科医療科学専攻 展開医療科学講座(第一内科)
  • 川上 純
    長崎大学大学院医歯薬学総合研究科医療科学専攻 展開医療科学講座(第一内科)

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抄録

シェーグレン症候群(SS)とHTLV-Iには疫学的関連性が示されている.HTLV-I関連脊髄症(HAM)合併SS(HAM-SS)小唾液腺は無症候性キャリアSSやHTLV-I陰性SSと比して画像的な破壊像が少ない.この一因として異所性二次濾胞,濾胞性樹状細胞およびCXCL13発現の差が挙げられる.臨床的にもHAM-SSにおける抗核抗体や自己抗体出現頻度の少なさはB細胞分化に必要なCXCL13発現の差を反映している可能性が示唆される.一方,HTLV-I感染のSSに対する直接的な影響について,SS唾液腺培養上皮細胞(SGECs)とHTLV-I感染細胞株HCT-5との共培養による検討を行った.HCT-5はNF-kB核内移行を伴い,共培養72時間以降SGECsにHTLV-I関連蛋白発現が見られ,HTLV-I感染率は7.8±1.3%であった.共培養後のin situ PCR ではHTLV-I DNAは48時間以降SGECs核内に検出された.HCT-5との96時間共培養上清ではJurkatとの比較でsICAM-1,RANTES,IP-10など接着・遊走・炎症に関わる分子が経時的に増加した.また,チトクロームCやFasなどアポトーシス誘導分子およびBcl-2,HO-2,HSP-27などアポトーシス抑制分子の両者が経時的に増加したが,TUNEL染色では共培養中のSGECsにおけるアポトーシス増加はみられなかった.二次濾胞形成頻度と腺組織への感染という両面からSSにおけるHTLV-I感染に伴う免疫異常について議論できる可能性が示唆された.

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