W4-2  インフラマソームを介した無菌性炎症と心血管病

  • 高橋 将文
    自治医科大学 分子病態治療研究センタ バイオイメージング研究部

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説明

  心血管病における炎症の重要性が示されている.心血管病での炎症は,病原体の関与がないことから無菌性炎症と呼ばれているが,その炎症が惹起される機序はこれまでわかっていなかった.近年,いくつかの病態における無菌性炎症がインフラマソーム(Inflammasome)と呼ばれる新たな炎症経路を介して誘導されていることが報告されており,心血管病の無菌性炎症においてもインフラマソームの関与が明らかとなりつつある.インフラマソームとは,危険シグナルによって細胞内に形成される分子複合体であり,カスパーゼ-1の活性化により炎症性サイトカインであるIL-1βの産生を誘導して炎症を惹起する.我々は,血管傷害や動脈硬化,腹部大動脈瘤,心筋梗塞といった心血管病マウスモデルの病変部においてインフラマソームが活性化されていることを認めており,インフラマソーム構成分子の欠損マウスでは,炎症反応の減弱とともにその病態も改善することを見出している.これらのことから,インフラマソームが様々な心血管病における無菌性炎症反応の感知センサーとして働いており,これらの疾患に対する新たな治療標的となりえることが示唆される.<br>

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