P2-056  IgG4関連ミクリッツ病の唾液腺機能に対する早期治療の有用性

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抄録

【目的】IgG4関連ミクリッツ病(IgG4-MD)の自然経過はまだ不明な点が多く,治療による唾液分泌量増加と関連する因子もわかっていない.そこで今回,IgG4-MDにおけるステロイド治療による唾液改善量と相関する因子を後向きに検討した.<br> 【方法】IgG4-MD26例のステロイド治療前後の唾液分泌量(唾液改善量)をサクソンテストで評価し,唾液改善量と発症から治療開始までの年数(罹患年数),治療前唾液分泌量との関連を解析した.次に治療開始前に生検された顎下腺組織における腺房,線維化病変,リンパ瀘胞の面積を計測し,各々の標本中の割合を算出し,唾液改善量,治療前唾液分泌量及び罹患年数との関連性を検討した.<br> 【結果】罹病期間が2年を経過すると,有意に唾液改善量が低下した(p<0.05).また罹病期間と治療前唾液分泌量,唾液改善量と治療前唾液分泌量に低い正の相関(共にr=0.23)を認めた.唾液改善量は各組織学的因子との間に相関がみられた(腺房:r=0.29,線維化:r=−0.23,リンパ瀘胞:r=−0.31).また各組織学的因子間にも互いに相関関係を認めた(腺房とリンパ瀘胞:r=−0.23,腺房と線維化:r=−0.42,線維化とリンパ瀘胞:r=0.30).<br> 【結論】IgG4-MDでは,治療介入が遅れると唾液分泌の改善効果が低下する可能性が示された.また唾液改善量は,治療開始前の唾液腺組織中の残存腺房,線維化,リンパ瀘胞の程度と関連していた.<br>

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