ES2-1 IgG4関連疾患とB細胞

  • 高橋 裕樹
    札幌医科大学医学部 免疫・リウマチ内科学
  • 山本 元久
    札幌医科大学医学部 免疫・リウマチ内科学

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抄録

<p>  IgG4関連疾患(IgG4-related disease: IgG4-RD)は血清IgG4高値と,IgG4陽性形質細胞の浸潤と線維化による臓器病変を特徴とする新たな疾患概念である.罹患臓器は涙腺・唾液腺と膵臓を主体に,ほぼ全身に渡り,それに起因する多彩な臨床スペクトラムを有するが,高ガンマグロブリン血症や低補体血症が発見の契機になることが多く,当初から過剰なB細胞の活性化を含む何らかの免疫異常の関与が示唆されていた.実際,IgG4-RDの病態としてB細胞でのIgG4へのクラススイッチの促進・形質細胞でのIgG4産生増加は確認されたものの,自己抗体の同定には至らなかった.また,補体結合性を有さないIgG4の生理機能などからIgG4が組織障害を惹起することは困難であり,IgG4-RDの病因とB細胞の関連は限定的と考えられていた.しかしながら,最近,患者血中に形質芽細胞のoligoclonalな拡大が確認され,また患者由来のIgGがマウスに膵病変をきたすことが報告され,病原性を有する自己抗体の存在が注目されている.さらに,自験例を含め,ステロイド抵抗性のIgG4-RD症例で抗CD20モノクローナル抗体であるrituximabが有効であることも報告され,B細胞の抗体産生能に加え,エフェクター機能の異常がIgG4-RDの病因に関連する可能性が想定されている.</p>

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