不登校の経験をもつ慢性疾患児(中学生)のストレス対処特性

  • 武田 鉄郎
    国立特殊教育総合研究所病弱教育研究部
  • 原 仁
    国立特殊教育総合研究所病弱教育研究部

書誌事項

タイトル別名
  • Coping with Stress : Junior High School Students with Chronic Diseases Who Have Experienced School Non-Attendance
  • フトウコウ ノ ケイケン オ モツ マンセイ シッカンジ チュウガクセイ ノ ストレス タイショ トクセイ

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説明

本研究の目的は、不登校を経験したことのある慢性疾患児(経験者)と不登校の経験のない慢性疾患児(非経験者)との比較をとおして、経験者のストレス対処過程での特性を検討し、さらに自己効力感や健康関連行動に関連する認知的要因である主観的健康統制感について検討することであった。ストレス対処過程(認知的評価、コーピング、知覚されたソーシャルサポート、ストレス反応)において次のような結果が得られた。知覚されたソーシャルサポートでは、経験者と非経験者との間に有意差がみられ、経験者の方が、父親、母親、兄弟、教師、友人、病院職員のすべてのサポート源において非経験者よりもサポート期待が低かった。ストレス反応では、「不機嫌・怒り」、「身体的反応」、「抑うつ・不安」、「無力的認知・思考」のいずれにおいても経験者と非経験者との間に有意差がみられ、経験者の方が非経験者よりストレス反応が高かった。なお、認知的評価、コーピング尺度で評定された結果からは経験者と非経験者の間には有意差はみられなかった。また、主観的健康統制感において、不登校の経験の有無との間に有意差は認められなかったが、自己効力感において、経験者と非経験者との間に有意傾向が認められた。最後に、経験者と非経験者の比較をとおして、経験者のストレス対処特性について考察した。

収録刊行物

  • 特殊教育学研究

    特殊教育学研究 38 (3), 1-10, 2000

    一般社団法人 日本特殊教育学会

被引用文献 (1)*注記

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