体外循環中の静脈血酸素飽和度予測の可能性について

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【要旨】体外循環(CPB)回路内の静脈血酸素飽和度(SvO2)は,酸素運搬量の過不足を把握するうえで重要な指標である。特に高度希釈症例や復温時,あるいは予定灌流量が維持できない場合には,SvO2測定値および灌流量や体温などの諸条件からSvO2の変動幅を予測し,的確かつ速やかに対応する必要性が発生する。そこで今回,当院で作成した至適灌流量算出式によるCPB中のSvO2予測の可能性について検討した。方法は当院で施行したCPB症例88例の各Total-Bypass時の臨床データ〔灌流量,体温,Hb,SvO2〕を至適灌流量算出式に代入してSvO2の計算値を算出し,臨床値と比較した。その結果,SvO2の計算値と臨床値は高い相関を示した。CPB中のSvO2の予測には,灌流量,Hb,SaO2,体温,体温別酸素消費量の各項目が必要であるが,至適灌流量算出式は,CPB前に予定灌流量を計算するための式であるが,低体温時の酸素消費量の計算が可能なこと,および上記の項目がすべて満たされていることから,この式を利用したSvO2予測は可能であると考える。

収録刊行物

  • 体外循環技術

    体外循環技術 30 (2), 86-88, 2003

    一般社団法人 日本体外循環技術医学会

被引用文献 (1)*注記

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